第1回:プロになる選手の共通点


プロフェッショナルに聞く


第1回:プロになる選手の共通点

育てるという感覚はありません。


2013年3月25日


サッカー少年・青年の可能性を広げ、プロフェッショナルのあり方を学ぶコーナー「プロフェッショナルに聞く」。
記念すべき第1回目は、ワールドカップ出場選手やJリーグ選手を多数OBにもつ、三重県の名門高校である三重県立四日市市中央工業高等学校サッカー部監督「樋口士郎先生」にお話を伺って来ました。
日本サッカー部を支えているのは、技術的にはユースですが、やはり精神力も大切、そんな選手を人間的にも大きく成長するための場として四日市中央工業高校サッカー部で過ごす生徒にどのようなあり方でご指導をされていらっしゃるのか?
全3回に分けてお送りします。
それでは、さっそく今回のプロフェッショナルに聞く!行って見ましょう!


教育において大切にしている事

高校サッカー選手権優勝も1つの過程


  • 清水:

    樋口先生本日はお忙しい中お時間を頂き誠に有難うございます。早速ですが、私どもサッカー少年・青年と関わる中で是非先生にお伺いしたいことを質問させて行きながら進めていきたいと思います。本日はどうぞよろしく御願いいたします。




  • 樋口先生:

    よろしくお願い致します。




  • 清水:

    早速質問なのですが、名門サッカー部として華々しい実績とワールドカップで活躍するような坪井慶介選手やJリーガー輩出を育成された樋口先生の“教育において大切にしていること”はどのようなことでしょうか?





  • 樋口先生:

    育てると言う感覚はありません。その人が育つためのきっかけを与えられるかどうかです!坪井などは、元々B2のトレ選にすらかかっていない選手から3年目にレギュラーになれた選手なのですがワールドカップに出場する選手までに育ってくれた。私は坪井を育てた何て思っていません。つまり、彼が自分で育ってくれたと思います。そして、その育つ“きっかけ”に我々指導者が少しでも影響を与えられていれば、指導者、冥利に尽きると思います。




  • 清水:

    そうなんですね。選手が自発的に育つ環境作りというのは素晴らしいですね。では、もう少し広く高校サッカー部の監督として樋口先生が意識していることは何ですか?




  • 樋口先生:

    これは、四日市工業高校のサッカー部の基本理念でもありますが、2つです。

    1ワールドカップで活躍できる選手の輩出
    2.良い指導者の輩出

    この2点です。この2つを目指す過程で高校サッカーにおいて優勝すれば良い。つまり、高校サッカーにおいて優勝は基本理念に付随している“おまけ”の様なものです。
    だって技術だけだとユースの方が絶対強いに決まっていますからね。ただ、長年高校サッカー部の監督をしていて思うのは、ワールドカップで戦える選手は高校サッカーを経験していないと戦えるメンタルが培われないというふうに考えています。だから、準優勝した時のミーティングでも「自分たちが上手いと勘違いするなよ!」と話したのです。あくまで、彼らがサッカーを行っているのは目先の勝利のためではなく、後にワールドカップで活躍できる選手になるか、良い指導者になるか、そのために行っているのです。その事をいかに多くの子ども達に分かってもらえるかと言う点を一番大切にしています。







プロになる選手の共通点

自立こそプロフェッショナルへの近道


  • 清水:

    ワールドカップで戦えるメンタルですか。たしかに、部活とユースでは選手のタイプも異なるように思いますね。私も部活でサッカーを経験してきたのでよくわかります。では、具体的にワールドカップ出場選手ならびにJリーガーになっていった選手の共通点というものは何かありますか?



  • 樋口先生:

    プロと言うよりも、良い選手の共通点『自立』していると言う事です!目標があり、そこまでの課題を自分で見つけ出し、改善の策を打ち出せる選手は勝手に強くなりますからね。




  • 清水:

    なるほど。先ほど「勝手に育った」とおっしゃっていたのはつまり「自立した選手」ということにつながるのでしょうね。ただ、そうはいっても選手もまだ15~18歳の思春期の青年です、モチベーションを保つのは大変なのではないでしょうか?




  • 樋口先生:

    私はモチベーションとかは考えていないです。




  • 清水:

    モチベーションを考えていない?どういうことでしょうか?是非詳しく聞かせていただけませんか?




  • 樋口先生:

    はい。先ほど述べた基本理念を常に考え、接している。それだけです。

    モチベーション=信念に変わった選手は伸びる。“信念”とは自分は何のためにサッカーをやるのかがわかった選手のことです。信念をもってサッカーに取り組んでいる選手とは自主練を見れば直ぐにわかる。




  • 清水:

    自主練を見ればすぐにわかる。私も学生時代はもっと上手くなりたいと思いよく自主練をしているのを思い出します。どんな違いがあるんでしょうか?




  • 樋口先生:

    自主練には、3タイプ存在します。

    ①自分のための自主練

    ②指導者へのアピールの自主練

    ③仲間と楽しく遊んでいるだけの自主練

    この3タイプの自主練の中で、①の自分のための自主練を行っている選手は信念があり、自分で考える事が出来るので勝手に育ってくれるし、モチベーションが下がるなどと言う事は無いと思います。一番意味の無い自主練は②の指導者へのアピールですね。これをするぐらいなら③の仲間と楽しく遊んでいる方がよっぽどマシですね。こっちの方が何か身につく可能性がありますからね。









ご協力ありがとうございました。



ご協力頂いた高校

三重県立四日市工業高等学校

HP:http://www.yokkaichichuo-th.ed.jp/

アクセス:近鉄名古屋線、湯の山線、内部線・八王子線近鉄四日市駅西口2番乗り場より三重交通バス75系統近鉄高角駅行きで神前大日山(かんざきだいにちやま)下車、徒歩10分。



ご協力頂いた方

三重県立四日市工業高等学校 サッカー部監督 樋口 士郎先生
ご紹介:ご紹介:三重県出身の元サッカー選手である。出身高校である名門三重県立中央工業高等学校サッカー部の監督を務める。選手時代は、1977年高校選手権の準優勝に貢献、日本ユース代表の主将も勤めた。1991年から母校である四日市中央工業高等学校に赴任してサッカー部コーチ、95年には監督として高校選手権初優勝、坪井慶介などのワールドカップ選手、Jリーガーの輩出など数々の実績を残している。サッカーの指導における基本理念は、「ワールドカップで活躍する選手の輩出」と「良い指導者になる」



樋口先生この度は本当に有難うございました!
さて、皆さん今回のプロフェッショナルに聞く!はいかがでしたでしょうか?
今後とも、プロフェッショナルに聞く!ことであり方を考えるこのコーナーで皆様にとって「自立した選手を育てる」情報発信を行って参りたいと思います。